多摩川で採集した生き物紹介も3回目となりました。今回は私も大好きな甲殻類をテーマにお届けしますよ。
今や日本中どこの川でも生息している外来カワリヌマエビの仲間です。西日本や南西諸島にはもともとカワリヌマエビの仲間(ミナミヌマエビなど)が生息していますが、釣り用のエサや観賞用として持ち込まれた外国産数種が侵入しました。その後、日本在来種と混ざったもの(交雑)を含め瞬く間に日本中に拡がりました。雑食で藻や水草、死がいなど何でも食べます。
次はテナガエビの仲間を続けて紹介します。
まずは上の写真から!スジエビです。テナガエビほどではありませんが胸脚(きょうきゃく=ハサミになっている脚)が長くなっています。頭(頭胸)の横にある逆ハの字模様も特徴です。下は一見すると同じ種類のようですが、外来種チュウゴクスジエビと考えられる個体です。逆ハの字(左側)の上部が内側に曲がり鉤状になるのが特徴です。スジエビと混ざっている可能性も考えられますが、模様はチュウゴクスジエビの特徴が現れています。
最後は釣りの対象としても人気のあるテナガエビ。名前がしめす通り非常に長い手(胸脚)を持っています。オスの方が体も大きく、手もより長くなります。テナガエビの仲間はどれも肉食性が強くこの胸脚を使って積極的に獲物を捕らえます。
スジエビとテナガエビの一番の違いは実は「額角(がっかく)」にあるトゲの数です。「額角」というのは両目の間にある角のことで上側にあるトゲの数が両種で異なります。スジエビはトゲが5本くらい、テナガエビは10本以上あります。小型のテナガエビはスジエビによく似ているのでここで見分けるのが確実です。
モクズガニは淡水のカニの中ではかなり大型になります。ビジターセンター1階の水槽にいるカニを見て、その大きさに驚いてる光景もよく目にします。最初に「淡水」と書きましたが実は産卵は海で行われ、カニの姿になるまでは海で過ごします。そこから川を一生懸命上りながら大きくなっていくわけです。
「藻屑(もくず)」の名が示す通りハサミに毛がはえているのが一番の特徴です。ご存知の方もいるかと思いますが甲殻類は脱皮をしながら大きくなっていきます。モクズガニも同じように脱皮しますが、腕の毛もある程度の大きさになるまでは徐々に増えていきます。下は脱皮して数日後の様子です。
水からあげると上の写真のようにペタッとなってしまいますが、水中ではフワフワになり、まるで綿毛のようですね!このあと徐々に茶色くなっていきました。
今回は「甲殻類」をテーマにお届けしました。水槽では主役になることが少ない生き物ですが、体の動きや行動を観察するとたくさんの発見がありとても面白い生き物です。ふれあい休憩室に遊びに来たときはぜひエビやカニに注目してみて下さい。
(やたっち)