Archive for 自然情報

ひっつき、くっつき、どこまでも…

外の作業から戻ってきたスタッフの足元を見ると「ひっつきむし」がたくさんついていました。人や動物にくっついて、自分の子孫を遠くまで運んでもらおうとする植物の種や果実を「ひっつきむし」と呼んだりします。
小さいころ、草むらで走り回って遊んで家に帰ると、「ひっつきむし」がたくさん服にくっついていた…という思い出のある方もいるのではないでしょうか?

今回は、やっかいだけれど興味深い中目黒公園の「ひっつきむし」をご紹介します。

スタッフの足にくっついてきた「ひっつきむし」は「アレチヌスビトハギ」でした。

漢字にすると、荒れ地の盗人の萩…?すごい名前だなと思いますが、今の時期ハギに似たかわいらしい花を咲かせます。
種を間近で見てみると、種の表面にザラザラとした毛が生えていて、マジックテープのようになって服に密着していたことが分かります。


黄色い小さな花をたくさん咲かせているのは、「コセンダングサ」
種がついている様は、線香花火のようでかわいらしく思えますが、種の先端にトゲがあり、これが靴下や服に刺さります。


ひっつきむしの代表格「オオオナモミ」、このトゲには特に鋭い返しがついていて、セーターなどにくっつくと、ローラー式に絡まってこれまた引き離すのに一苦労。今はまだ青いのですが、茶色くなるとトゲが固くなり、触るととても痛いです。この「オオオナモミ」は北アメリカ原産で、「オオオナモミ」より昔から日本にいた「オナモミ」は現在、絶滅危惧種Ⅱ類に指定されています。


植物の知恵を知ると、公園をはじめいろんな場所でこれらの植物が増えているのも頷ける気がします。

服などについた、「ひっつきむし」を取るのは面倒だなと思うかもしれませんが、自分では動くことの出来ない植物が、「ひっつき、くっつき、どこまでも」旅をしようとする知恵を観察してみると新しい発見があるかもしれませんよ。
この秋、足元の「ひっつきむし」にもご注目(ご注意!)下さい。

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秋の鳴く虫を探してみよう

秋らしい風が気持ちのよい季節になりましたね。
夕方になると、あちらこちらから虫の鳴き声が聞こえてきます。
みなさんは、どの虫がどんな鳴き声で鳴いているか知っていますか?

9月10日(日)に自然観察クラブ主催の、「鳴く虫の観察会」が行われました。
まずは、虫が鳴く理由や虫ごとの鳴き方の違い、1種類ずつ虫の鳴き声を聞いて勉強した後、外に出て鳴く虫を探しに行きました。

外に出て虫の声を聞いてみると、いろんな虫が一斉に大合唱をしているので、1種類ずつ聞き分けることは難しいのですが、それでも耳をすませて、特徴を確認しながら聞いてみると、どの虫が鳴いているのか少しずつ分かってきます。

樹の上でひときわ大きい声で鳴いているのは、アオマツムシ、芝の中でジーッと鳴いているのは、シバスズ…と生活している場所や特徴を確認しながら探していきます。

途中、ヒロバネカンタンやカネタタキを見つけることもでき、参加者からは、「何種類かは虫の声を聞き分けられるようになった。」「夜の公園で虫を探すのが楽しかった。」などの感想も挙がりました。

いつもとは一味違う夜の公園で、身近な鳴く虫の世界をお楽しみいただけたようです。夕涼みに、秋の虫の声を聴きながら公園をお散歩してみませんか?

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夏の落とし物

すっかり秋の気温になってきました。
さわやかな風が公園に流れています。

今年の夏もたくさんの花が中目黒公園に咲き誇りました。
そんな植物たちが今の時期落とし物をしてくれます。

それは”種”です。


※左上:つるなしインゲンの種、右上:つるありインゲンの種、右下:レタスの種

※1枚目:インゲンの花 2枚目:レタスの綿毛

植物は花が咲いた後、命をつなぐために種をつくります。
種の周りはトマトなどの野菜で知られるように私たちが美味しく食べられるものもあれば
フウセンカズラのように空気をたくさん含んでいたり、植物によって様子は様々です。

花とみどりの学習館では、公園で育てた植物の種の自家採種を行っています。
毎年公園で採れた種から植物を育てることによって、命をつなげることを大切にしています。
園内のすべての植物を自家採種することはできませんが、花や実を楽しんだあとも種を取るためや
いきもののためにそのまま残しておきます。

公園で枯れかけた植物に実がついていたり、真っ赤に熟している実を見つけてもそっとしておいてくださいね。
種を見てみたい!という方はぜひ学習館のスタッフにお声がけください。

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セミたちの工夫

園内には、たくさんのセミたちの声がするのですが、
なかなか姿を見つけるのが難しいと思っている人も多いと思います。

それもそのはず、セミたちも姿をみられないように「擬態」しています。
(“擬態”とは、自分の体を他の生物や周囲の模様に似せることで、
敵から身を守ることです)

どのように擬態しているか、アブラゼミとミンミンゼミでみてみましょう。


アブラゼミ


ミンミンゼミ

まずは羽の色です。
アブラゼミの羽は茶色のまだら模様で木の幹に擬態し、
ミンミンゼミなどの透明な羽は背景の色を透かすので全く目立ちません。
実はアブラゼミのように色の付いた羽というのは世界的に見て珍しいタイプで、
基本的にはどんな場所でも目立たない透明色の羽を持つセミが多いのです。

次に体色です。
アブラゼミは黒色で、木の幹に溶けこみ見つけづらいです。
ミンミンゼミは少し派手な色合いをしていて、一見目立ちそうですが、
写真のように遠くに見える木の葉の陰や苔むした樹皮などに
擬態しているのかもしれません。

また、暑い地域では熱の吸収を抑えるため黒地が少なく緑が多い個体
(ミカドミンミンと呼ばれます)が生まれ、涼しい地域では
黒地が多い個体が生まれるなど、機能面の個体差もあるそうです。

小さな虫たちもいろいろ工夫を凝らして、生きているのですね。
よく見るととてもきれいな昆虫なので、ぜひ探してみてください!

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「公園作業とブドウ収穫のお手伝い Part2」

夏の暑い日差しの中、中目黒公園のブドウが実りました!

とてもおいしそうに実ったので、来園者の方々にも味わっていただくために
「公園作業とブドウ収穫のお手伝い」のイベントを8月5日に実施しました。

中目黒公園はたくさんのボランティアさんの活動によって成り立っています。
今回はたくさんの方にご参加いただき、まずは畑周辺の除草を手伝っていただきました。

小さいお子さんも頑張って草取りをしてくれました。
人数が多いと、少しの時間でもあっという間に作業が進みます。

そのあとは、バックヤードに移動してブドウの収穫作業です。
今回収穫のお手伝いをしていただくのは「早生キャンベル」という種類のブドウです。

紫色の粒が大きいブドウです。

収穫をした後は、みんなで洗って各テーブルに分かれて試食を楽しみました。
とても好評で、おかわりする参加者が何人もいらっしゃいました。

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ブドウの収獲は、
「公園作業とブドウ収獲のお手伝い」内で実施します。
スタッフと一緒に簡単な公園管理作業をお手伝いをいただたた後、
ブドウを収獲し、みんなで味見をする予定です。
どなたでもご参加いただけます。
(小学生以下のお子さんは保護者の方と一緒にご参加下さい。)

第2回目は、8月20日(日)に行います。
事前申込みは不要です。
午前10時までに花とみどりの学習館にお越しください。

日時:8月20日(日)10~11時
集合場所:花とみどりの学習館
種類:デラウェア(予定)
持ち物:軍手、作業できる服装(長そで長ズボンをおすすめします)、
帽子、水筒 ※虫除け対策をしてお越しください。

次回収獲する予定のデラウェア。

一緒に汗を流し、おいしいブドウを味わってみませんか?

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「公園作業とブドウ収獲のお手伝い」

むしむしと暑い日が続いていますが、
中目黒公園ではボランティア活動が盛んに行なわれています。

私たち学習館スタッフが、ボランテイアの方と一緒に
手入れしているもののひとつに、ブドウがあります。

園内では5種類のブドウを育てており、
冬の「剪定(せんてい)」や春から夏にかけて「芽かき」、
実を大きくするための「摘果(てきか)」、
鳥や虫に食べられないようにするための「袋かけ」など、
年間を通して様々な管理作業を行います。

今の時期は、「芽かき」や「袋かけ」の作業を行なっています。


作業の様子です。

みんなで育てたブドウは、もうすぐ収獲の時期を迎えます。

ブドウの収獲は、
「公園作業とブドウ収獲のお手伝い」内で実施します。
スタッフと一緒に簡単な公園管理作業をお手伝いをいただいた後、
ブドウを収獲し、みんなで味見をする予定です。
どなたでもご参加いただけます。
(小学生以下のお子さんは保護者の方と一緒にご参加下さい。)

今年の第1回目は、8月5日(土)に行います。
事前申込みは不要です。
午前10時までに花とみどりの学習館にお越しください。

日時:8月5日(土)10~11時
集合場所:花とみどりの学習館
種類:早生キャンベル
持ち物:軍手、作業できる服装(長そで長ズボンをおすすめします)、
    帽子、水筒 ※虫除け対策をしてお越しください。

今回収獲する予定の早生キャンベル。


少しずつ色づいてきています。

一緒に作業で汗を流し、おいしいブドウを味わってみませんか?

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夏に向けてトウモロコシの花が咲いています

梅雨が明けきらないうちに、中目黒公園の植物たちはもう夏の準備を始めています。


花とみどりの学習館の前にある花壇には
ミニヒマワリとトウモロコシが仲良く花を咲かせています。


トウモロコシの花がどこにあるかわかりますか…?
トウモロコシの花は、いわゆる「花」の形とは少し様子が違います。
1本の植物の中で、オスの花とメスの花が離れたところにできます。(雌雄異花)

下の方には、ふさふさとひげのようなメスの花を蓄えています。(写真左)
普段私たちが食べるコーンは、このふさふさした毛の一本一本がトウモロコシの粒一つ一つとつながって、メスの花の根元にできます。
茎の先端にススキの穂のように開いているのがオスの花です。(写真右)

花が別々の場所に出来るのには、ちゃんと理由があります。
トウモロコシは“自家受粉”(自分の雄しべと雌しべで受粉をすること)ができません。
そのため、別々のところに花を咲かせ、近くにいる仲間同士で受粉できるように工夫していたのですね。
トウモロコシを育てる時は1本ずつ別々の場所に植えるよりも、トウモロコシ畑としてたくさん植えたほうが受粉しやすく、実りが良くなります。

ちなみに、トウモロコシは風で花粉を運ぶ“風媒花”です。
雄しべの花粉が下にいる雌しべに落ちるように花の場所にも工夫がいっぱいのトウモロコシでした。

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コガネグモ見つけました!!

学習館スタッフが建物の外に「見慣れないクモがいる」と
写真を撮りました。

なんと『コガネグモ』です。立派な大人のメスです。

目黒区では駒場野公園で記録がありますが、
中目黒公園では初記録です。
このクモは日本国内でも南に生息するクモで、
東京23区では絶滅危惧Ⅱ類とされています。

絶滅危惧種のクモが見つかったのは興味深いことですが、
南国に生息するクモが見つかるというのは、
公園を取り巻く環境が変わってきていることの証かもしれません。

【参考情報】
目黒区いきもの気象台観察ノート:
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/shizen/ikimono/johokyoku/kansatsunote.files/13_i_map.pdf

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梅雨を彩るアジサイの花いろいろ

梅雨の時期に咲く花といえば、アジサイ。
中目黒公園では、数種類のアジサイが楽しめます。
今回はその中でも、外国原産のちょっと変わったアジサイの仲間を紹介します。
                     カシワバアジサイ
一重咲きの‘スノークイーン’ と八重咲きの‘スノーフレーク’があります。
その名前のとおり「柏」のような形の葉に、円錐形の花をつけるのが特徴です。
秋には葉の紅葉も楽しめます。

                     アメリカノリノキ‘アナベル’
純白で大きな手まり状の花が特徴です。つぼみの頃は緑色の萼(がく)が、
咲くにつれて白に変わります。

 

 

 

 

 

おなじみのアジサイもあります。

園内で探してみてくださいね。

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どんなチョウになるかな?

園内をまわっていると、葉っぱが何かに食べられたようなあとがありました。
よーく目をこらしてみると、むしゃむしゃとお食事中の虫を発見しました。
植物を食べられてしまうと困ってしまうこともありますが、
小さな生きものたちを観察してみるのもオススメです。

今日は、アゲハチョウの幼虫をご紹介します。

ミカンの葉の上でひと休みしているのはクロアゲハの幼虫。
この後、段階を経て緑色の幼虫に変身しますが、小さい頃はこんな姿です。
なんだか、よく見ると鳥のフンに似ていませんか・・・?
フンに似せて鳥から食べられないように身をかくしているのかもしれません。

むしゃりむしゃりとフェンネルの葉を食べているのは、キアゲハの幼虫。

キアゲハの幼虫は、セリ科(ニンジンやセロリなどもこの仲間)の葉を食べます。
身をかくすために体の色を葉の色に似せたりする幼虫が多い中、
派手な色ですぐに見つけることができます。
食べるな危険!とアピールしているみたいですね。

ウマノスズクサの葉を食べているのは、ジャコウアゲハの幼虫。
つんつんと触ると臭角(オレンジ色の触角のようなもの)を出して
独特のにおいを出して威嚇してきますが、これもアゲハチョウの仲間の特徴です。

ちょうど今、蛹(さなぎ)になり始めています。

どんな大人のチョウになるでしょうか・・・?
そっと見守ることにしましょう。

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