Feel Nature in Tokyo!シリーズに登場する生きものたちを紹介します!
■動物
・タヌキ
低地から山地にかけてまとまった緑地が残る場所に生息し、昆虫や果実類等を食べる雑食性の哺乳類です。目の周りが黒っぽいのが特徴で、5月頃には夏毛に生え変わりほっそりと、冬は冬毛に生え変わりふっくらとした姿に変わります。
東京都心部では1960年代後半に一度生存が途絶えましたが、1990年代前半から東京都港区の赤坂御用地などで目撃されるようになり、近年は目撃例が増えています。都市で暮らすタヌキは人間の出すゴミを食べたり、側溝や排水管を生息地間の移動経路として利用しているようです。
・ムササビ
リスの仲間で、飛膜を広げて滑空することで木の間を移動します。
主に樹木の葉、花、蕾、実などを食べており、高尾山をはじめとした東京の自然公園ではムササビの食べあとが登山道に落ちていることも!
大径木がある神社、寺院、河川沿いの林や山地部や多摩丘陵などの丘陵地にも生息していますが、近年の開発により、ムササビが生息できる樹林が失われてきています。
東京都23区では絶滅し、南多摩地域では東京都レッドリストにおいて準絶滅危惧種に指定されています。
・ツキノワグマ
ツキノワグマはブナやミズナラなどのブナ科の落葉樹林のあるところを中心に生息し、現在は本州・四国で生息が確認されています。名前の通り胸の三日月模様がトレードマークで、植物を主食とする雑食性の大型哺乳類です。
危険なイメージばかりが先行してしまうツキノワグマですが、その数は森林開発により減り続け、九州ではすでに絶滅、四国でも絶滅寸前と言われています。東京都でも絶滅危惧種に指定されていますが、奥多摩や檜原村、八王子などでも生息が確認されており、東京は世界的にも珍しい『クマが生息している首都』なのです。
・ニホンカモシカ
国の特別天然記念物に指定されていますが最近では数を増やし、檜原村や奥多摩町をはじめ、低山や丘陵地でも目撃されることがあります。
名前にシカと付いていますがウシの仲間で、オス・メス共に枝分かれしない15cm程の短いツノが生えています。
目の下には眼下線があり、そこから分泌する粘液を木の幹や岩などにこすり付け、縄張りを主張する習性があります。顔にはヒゲのようにフサフサした毛が生えており、とても愛らしいです。
■野鳥
・キビタキ
春先に東南アジアから日本にやってくる渡り鳥です。
美しい黄色の羽根をもつオスの姿が名前の由来となっています。
4~5月にかけて高尾山や奥多摩地域に渡ってくると、美しいさえずりでメスにアピールします。
近年では緑地や街路樹の樹木が生長してきたため、東京都内でもキビタキをはじめとした樹林を好む野鳥たちの数が増えてきています。
・クマタカ
体の大きなタカの仲間で、食物連鎖の頂点に君臨する森の王者です。
東京都では、西多摩の奥深い山林に生息しています。
一か所でじっと待ち伏せをして、ノウサギなどの哺乳類やヤマドリなどの鳥類、ヘビ等を食べます。
もともと個体数は少ないのですが、開発によって狩りができる空間が保たれている森林や巣を作るマツやスギ等の大木が減少したことで、さらに数が減少したため、東京都の絶滅危惧種にも指定されています。
■昆虫
・アサギマダラ
美しい浅葱色(あさぎいろ)の翅でフワフワと優雅に飛ぶチョウの仲間です。
高尾山では5月と10月頃に成虫が多く見られ、成虫はキジョランに卵を生みつけます。
アサギマダラは別名「旅するチョウ」としても知られ、海を超えて1000㎞以上もの距離を移動する個体がいることも確認されています。
稀に移動調査のマーキングが翅に書き込まれた個体もいるため、アサギマダラの長い旅路を見ることが出来るのです。
・ヒメボタル
体長6~7mmと小さめのホタルの仲間です。
ゲンジボタルやヘイケボタルとは違い、一生を通して樹林地や草むらなど地上で生活します。
成虫になるとオスは7日間、メスは2~3日の命と言われています。
5月末~6月上旬にかけて、金色に点滅しながら光る様子を見ることができます。
光のピークは地域ごとに差があり、日没後すぐと23時以降の夜遅くに光る地域にわかれます。
■両生類
・トウキョウサンショウウオ
丘陵地や低い山地の湧水のある雑木林などに生息する里山を代表する生きものです。
クロワッサンのような形の卵のうから生まれた幼生は水辺で大きくなり、成体になると周辺の森林へ移動して暮らします。
東京都近郊の計7都県に分布していますが、里山の荒廃や土地開発、販売目的の採集等により、各地で減少しています。
そのため、環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅱ類と特定第二種国内希少野生動植物種に指定され、地方自治体などによる調査・保護活動が行われています。
東京都ではあきる野市の横沢入里山保全地域で保全活動が行われており、最近はトウキョウサンショウウオの卵のう数が増加傾向にあります。
■植物
・ヤマユリ
山地や丘陵のふちや傾斜地などに生える日本特産のユリです。
関東から東海地方にかけて特に多く見られ、7月の中旬ごろが見頃となります。
1~1.5mと背が高く、むせかえるような香りの大きな花をつけます。
根元には球根があるため、毎年同じ場所から生えてきます。
多摩地域に自生地が残っており、高尾山のある八王子市では市の花として選定されています。
・ブナ
ブナ科の落葉高木で、高さは30m、寿命は300~400年にもなると言われています。
4~5月に新芽が開花すると同時にふわふわした花を咲かせ、秋にはドングリが実ります。
年によってドングリの量は異なり、大体5年前後の周期で豊作になると言われています。
ブナ林にはブナの葉を食べる昆虫や土壌生物、樹洞を利用する野鳥、実を食べる動物たちなど、多くの生きものが見られます。
東京都では奥多摩地域でブナの原生林を見ることができます。