あだちの水辺生き物調査隊「六木水の森公園」

どんな場所?

垳川の横にある水路に囲まれた広場

 六木水の森公園は垳川の緑道沿いにある公園で、水車広場は最も中川側に位置します。水車広場には噴水や水車の他、広場を囲むように水路が巡っており、ショウブやガマなどの抽水植物も生えています。水深5cmほどの浅い箇所や30cm超える深場もあり、ところどころ堆積物が溜まっています。
 
垳川から水路に水が入るため、垳川で見られるような小型の水生生物が生息している可能性もあります。

 

見つかった生物

令和2年の調査では9種の生物が見つかました。そのうち2種は特定外来生物に指定されている生物でした。
令和4年の調査では新たに5種の生物が見つかり、全14種。そのうち2種は特定外来生物に指定されている生物でした。
令和5年の調査では新たに7種の生物が見つかり、全21種。そのうち2種は特定外来生物、1種は条件付き特定外来生物に指定されている生物でした。
令和6年の調査では新たに2種の生物が見つかり、全23種。そのうち2種は特定外来生物、1種は条件付き特定外来生物に指定されている生物でした。

魚類

クロダハゼ類
[スズキ目ハゼ科]

令和2年、令和4年、令和5年調査
ハゼとつくがヨシノボリの一種。近年、種の見直しがされていて以前はトウヨシノボリと言われていました。 池など止水域でも多く見られます。
令和5年調査では比較的深い場所におり、落ち葉だまりの物陰に隠れていました。

モツゴ
[コイ目コイ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
関東より西の四国九州などに分布し、中国東部、朝鮮半島、台湾など東アジアに広く生息する小型の淡水魚。側面に黒い線があるのが特徴。関東ではクチボソとも呼ばれます。
かご網の罠を使った採集では体長7cmを超す大きな個体も見つかりました。 

ミナミメダカ
[ダツ目メダカ科]

令和2年、令和4年、令和5年調査
日本には北日本に生息するキタノメダカと、南日本に生息するミナミメダカがいますが、本種は体の後半に網目模様がないため、ミナミメダカです。ペットとして飼われていたものが各地で放流されているため、元々いたメダカかどうかわかりません。

カダヤシ
[カダヤシ目カダヤシ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
北アメリカ原産で、日本でも分布を広げている特定外来生物。ボウフラをよく食べることから蚊を絶やす目的で日本各地で放されました。和名のカダヤシも「蚊絶やし」が由来です。卵を産まず、体内で卵を孵化させてから産む「卵胎生」の性質を持ちます。
今回の調査地でもお腹の大きなメスと稚魚も多くみられました。

コイ
[コイ目コイ科]

令和4年、令和5年、令和6年調査 
日本全国に分布していますが、人によって持ち込まれた場所もあるため自然分布は明らかでありません。事前調査で見つかったこのコイも自然分布の個体であるとは言い切れません。
口が非常に大きく、貝類や昆虫類、藻や水草などなんでも食べます。

ギンブナ
[コイ目コイ科]

令和6年調査 
日本全国の河川下流域や農業水路、ため池など、様々な淡水環境に生息しています。
コイと同じく雑食性でなんでも食べます。

両生類

ウシガエル(幼生)
[無尾目アカガエル科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
北米原産の大型のカエル。食用として戦前に持ち込まれ、日本各地で野生化してしまった特定外来生物。幼生(オタマジャクシ)の状態で越冬することができ、最大15cmまで成長し、その後成体(カエル)になります。
成体は口に入る大きさなら何でも食べ、昆虫やもちろん小鳥やヘビを食べた記録もあります。

甲殻類

スジエビ
[十脚目テナガエビ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
北海道から九州、朝鮮半島まで生息する淡水エビ。日中は岩陰や植物の影などに潜み、夜に活発に活動します。肉食の強い雑食性で、ミミズや魚類の死骸など食べます。
今回の調査は日中だったため、抽水植物の根本や、水面に浸かった植物の葉に潜んでいました。

カワリヌマエビ属
[十脚目ヌマエビ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
カワリヌマエビ属のエビは東日本では、自然分布していませんでしたが、国内に生息するミナミヌマエビや海外のカワリヌマエビ属のエビがペット用として持ち込まれたものなどが放され、各地で定着してしまっています。
雑食性で生物の死骸や藻類、デトリタスなど何でも食べます。
※デトリタスとは泥の中の有機物の事です。

アメリカザリガニ
[十脚目アメリカザリガニ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
アメリカ南部に生息するザリガニ。ウシガエルの餌用として日本に持ち込まれたと言われています。雑食性で植物や水草、小魚や水生昆虫など何でも食べます。
今回の調査地では、水路内のどこでも見られました。

ヨコエビの仲間
[端脚目]

令和5年、令和6年調査
淡水性のヨコエビで、主に水底で生活し生物の死骸や藻類を食べる雑食性の生きものです。名前にエビとつきますが、エビやカニよりもダンゴムシなどに近い仲間です。
今回の調査地では水底を掬った網の中に混ざっていたのを発見しました。

昆虫

シオカラトンボ属(幼虫)
[トンボ目トンボ科]

令和2年、令和4年、令和5年、令和6年調査
トンボの幼虫にしては短い体型で、毛深いのが特徴です。池や湿地など流れの緩やかな場所に生息し、区内では学校の屋外プールでもよく見かけます。
水底の泥に浅く潜って生活し、今回の調査地でも泥の堆積した場所で見つかりました。

コノシメトンボ(幼虫)
[トンボ目トンボ科]

令和5年、令和6年調査
コノシメトンボはアカトンボの仲間で、アカトンボのヤゴは見分けるのがとても難しく、腹部の横のトゲなどを見て見分けます。横の池や水田、学校のプールなどでも見つかることがあります。
今回は水底の泥を掬った網の中に入っているのが見つかりました。

ガガンボ科(幼虫)
[ハエ目ガガンボ科]

令和4年、令和5年、令和6年調査
ガガンボ科は種類が多く、日本全国に分布しています。成虫は蚊に似た姿をしていますが、血を吸うことはなく、花の蜜などを吸います。幼虫は種類によって土中や水中など生息する環境が異なり、食べるものも異なります。
今回は堆積物のある水底から発見されました。

ヒメアメンボ
[カメムシ目アメンボ科]

令和5年、令和6年調査
アメンボと同じく日本全国に分布しており、よく見かける種類です。池や水田などの止水域を好み、時には路上の水たまりでも見かけます。アメンボよりも止水を好む傾向にあります。

ミズアブ科(幼虫)
[ハエ目ミズアブ科]

令和4年、令和5年、令和6年調査
ミズアブの幼虫は種類によって地中や樹皮、水中など暮らす環境が異なります。今回見つかったのは水中に住む種類で、分解の進んだ落ち葉や藻などを食べています。
堆積物の中から見つかりました。

コマツモムシ
[カメムシ目マツモムシ科]

令和4年調査
日本の他に、中国や台湾にも分布しています。止水域に生息し、池や沼だけじゃなく防火水槽などでも見られます。お腹側を上に向けて泳ぐ姿が特徴的で、ミジンコなどを捕食します。

マツモムシ
[カメムシ目マツモムシ科]

令和6年調査
全国各地の止水域に分布しています。
お腹側を上に向けて泳ぐ姿が特徴的で、小魚やオタマジャクシ、他の昆虫などの体液を吸います。
素手で触ると刺されることもあります。

ミズムシ属
[カメムシ目ミズムシ科]

令和5年、令和6年調査
水生植物が豊富な環境で見られることが多い昆虫です。止水性や流水性の種がおり、前脚は短いものの後脚がオール状になっており、水中をうまく遊泳します。植物を食べる種が多いですが、中には肉食の種も知られています。

ユスリカ科(幼虫)
[ハエ目ユスリカ科]

令和5年、令和6年調査
日本全国に分布し、成虫は蚊に間違えられるの事の多い虫です。ユスリカの多くの種類が卵や幼虫の時は水中や湿った土中で有機物を食べて過ごし、成虫となって飛び立っていきます。今回は水底を掬った網にくっついていた幼虫が発見されました。

貝類

サカマキガイ
[有肺目サカマキガイ科]

令和4年、令和5年、令和6年調査
ヨーロッパ原産で、日本に来たものが野外に逃げて、繁殖しています。池や沼、下水道などにも生息しています。多くの巻貝類が右巻きなのに対し、サカマキガイは左巻きなのが特徴的です。
今回の調査地では堆積物の中に混ざっているのが見つかりました。

環形動物

イシビル科
[無吻蛭目イシビル科]

令和5年調査
日本全国に分布し、河川や水田などに生息するよく見かけるヒルの仲間です。ヒルは人間にくっついて血を吸うイメージがありますが、イシビルは人の血を吸わず川底の石などにくっついて水生昆虫やイトミミズ、魚の死体などを食べる川の掃除屋です。
令和5年調査では川底の石に張り付いていた個体が捕獲されました。

イトミミズの仲間
[イトミミズ目]

令和5年調査
日本全国に分布しており、下水などの汚れた水中でよく見かけます。名前の通り糸のように細長い体が特徴的で、泥の中に体の大部分を入れて尾だけを外に出して動かします。沈殿している有機物を食べます。
水底を掬った網の中に入っていました。